2008年,こんにゃくゼリーをのどに詰まらせて幼児が死亡した事件が相次ぎ,コンニャクゼリーが,一時,製造中止となったことがあります。
このとき,こんにゃくゼリーによる窒息事故が,1995年から2008年までに,約20件発生していたことなどが報道されたこともあり,マスコミ及び世論の反応は厳しいものでした。
当時のある消費者団体の事務局長は,「そもそも高齢者や子供が食べてはいけないお菓子が流通していること自体おかしい。」と発言し,また,当時の消費者行政担当大臣は,最大手メーカーの社長に対し,こんにゃくゼリーの製造を中止するよう求めるなど,当時,こんにゃくゼリーは,完全に「悪玉」だったと言って良いでしょう。
事態を重く受け止めたメーカー側は,こんにゃくゼリーの製造を中止することとなりました(今は,飲み込みにくいタイプに改造されたコンニャクゼリーが売られています。)。
ところで,コンニャクゼリーの製造が一時中止された2008年の2年後,内閣府の食品安全委員会によって,こんにゃくゼリー,こんにゃくの入っていないミニカップゼリー,パン,あめ玉,お餅,肉類,魚介類,米飯類を対象に,窒息死亡事故の発生確率の調査結果が公表されました。
調査結果によると,1億人が一口食べたと仮定した場合の,窒息死亡事故の発生確率は,こんにゃくゼリーでは最大で0.33人,あめ玉では最大で2.7人,お餅では最大で7.6人というものでした。
すなわち,窒息死亡事故の発生確率という観点から言えば,こんにゃくゼリーの製造を中止するまでの必要はなかったと言えます。
結果的には,マスコミも世論も過剰反応だったわけですが,食品は体の中に入るものだけに,これからもこのようなケースは起こりうるだろうなと思う,今日この頃です。