(前回は,こちら)
前回は,主に,生活面について書いた。
今回は,勉強面と,当時の息抜きだったジム通いについて説明する。
主な勉強方法は,以下の3つである。
① 予備校で集めた問題文と解答例の読み込み
② 実際に答案を書く
③ 自分で問題・解説・解答例を作る。
①について
①は,論文試験を受け始めてから継続していた。
が,内容は変わってきていた。
最初の頃は,問題・解答例を大量に集めるようにしていた。
が,この頃は,問題・解答例を減らし,その代わり,短時間で全体を見直せるようにした。
最終的には,1科目当たりの問題・解答例は,25問~50問程度に収まった。
これは,自活を始めてから勉強時間が減ったことに対応したものだが,結果的には,司法試験に不要な知識や思い込みをそぎ落とすことができて,程よい知識のダイエットになったと思う。
②について
①で暗記量を減らした反面,実際に答案を書く機会は増やした。
仲間の受験生何人かとゼミを君で,週に6問~8問は書いていた。
取り上げた問題は,論文過去問である。
このとき,字が汚くても良いから,とにかく最後まで書く習慣が身についた。
「字を丁寧に書かないと,採点者に申し訳ない。」
という気持ちを振り払えるようになったことが,②の勉強で得られた,最大の成果であろうか。
おかげで,今でも,自分の書く字は,汚いままである。
③について
これは,アルバイトしていた司法試験予備校(T法律研究所)で,論文用の新講座を開講することになり,私も,受験生スタッフの1人として,問題作成・解説作成及び解答例作成を担当することになったものである。
当時,予備校では,「解説レジュメは厚い方が良い」という考えが支配的であり,答案練習会で配られる解説レジュメは,1問当たりで10頁程度に及ぶのが普通だった。
「分厚い解説レジュメ」というと,何やら作るのが大変なように見えるが,実は逆であり,関連文献の該当箇所をその都度引用していけば良いだけだから,意外に楽なのである。
しかし,新講座では,解説は,1問当たり2頁と決められていた。
そのため,解説も,自分なりに関連文献の記述を咀嚼して,要領よくまとめなければならない。
結果的には,この作業を繰り返し行うことで,教科書をより深く読めるように,そして,簡潔にして要領を得た答案を書けるようになったと思う。
この方法はとにかく時間がかかるので,誰にでもお勧めできる方法ではない。
が,当時の受験生スタッフの多くが最終合格しているので,効果はあったのだろう。
今だったら,予備校の解答例を自分で作り直すようにすれば,同じ効果を得られそうだ。
ジム通いについて
生活が落ち着いた頃,近所のスポーツクラブに入会した。
トレーニングルームで筋トレをしたり,スタジオでダンスレッスンを受けたりするのは,楽しかった。
特に,ダンスは,当時流行始めていたヒップホップダンスが面白く,毎回楽しみにしていた。
そのうち,テニスレッスンも受け始め,会員とインストラクターの交流会(=飲み会)にも顔を出させて頂くなど,すっかり,クラブにとっての「お得意さん」になった。
家に風呂がない自分にとっては,シャワールームがあることも有り難かった。
体力をつけてもらい,ダンスやテニスという楽しみも教えてくれ,風呂代わりにもなってくれたスポーツクラブに,ただただ感謝である。
そして,再び論文試験
このようにして,自活を始めてから8ヶ月後,再び論文試験を受けた。
結果は,総合成績Aで,不合格だった。
しかし,科目毎での評価では,概ね自分の主観と一致していたので,落ち着いて結果を受け止めることができ,「自分のやるべき事をやるだけだ。」と,淡々と勉強を続けた。
このように,精神的に安定していたことが,良かったのかも知れない。
翌年の論文試験では,良い意味で,「全く想定外」のことが起こった。
(続く)