債務者が破産したとする。
債務者が法人の場合,破産手続が終わると,法人は消滅する。
債務者が個人の場合は,破産手続きが終わっても,その個人が消滅するわけではないが,破産債権の請求はできなくなる(これを,「免責」という。但し,「免責」が許可されないケースも,まれにはある)。
それでは,連帯保証人の債務はどうなるか。
これは,法律相談を受ける際,良く聞かれる質問である。
結論から言うと,債務者が破産しても,連帯保証人の債務は影響を受けない。つまり,債務者が破産しても,連帯保証人に対して保証債務の履行を求めることができる。
それでは,債務者が破産した場合,連帯保証人の債務はいつまで存続するのか。言い換えれば,どの時点で,消滅時効が完成するのか。
これも,時々聞かれる質問である。
考え方の筋道は,以下のようになる。
- 債務者について消滅時効が中断した場合,連帯保証人の債務についても消滅時効が中断される(民法457条)。
- 債務者の破産手続において破産債権を裁判所に届けると,債権の履行を「請求」したものとして消滅時効が中断し(民法147条1号,152条),連帯保証債務の消滅時効も中断する。
- 破産債権の届出後に行われる破産管財人による債権調査の結果,破産債権者表に記載された場合,その債権者表には確定判決と同一の効力が認められ(破産法124条3項),消滅時効の期間が10年に延長され(民法174条の2),破産手続終結後,改めて消滅時効の進行が開始される(平成7年3月23日最高裁判決)。
以上をまとめると,連帯保証人は,債務者の破産手続が終わった後10年間は消滅時効が完成しないので,その間は債権者から請求を受ける可能性がある。
ただし,債務者の破産手続において,債権者に配当する財産がないなどの理由で配当手続行われない場合は,破産管財人は債権調査を行わないので,破産債権者表も作成されず,消滅時効の期間も延長されない。
従って,この場合は,例えば,債務者の債務の消滅時効期間が5年だったら,破産手続終結後5年を経過することで,連帯保証債務も消滅する。
このように,債務者の破産手続で配当がなされたか否かによって,連帯保証債務の消滅時効の完成時期も異なってくるので,連帯保証人としては,債務者の破産手続の状況について確認しておくのが大切である。