日弁連より、「自由と正義」という雑誌の最新号が届いたので、開いてみると、サハリン州の仲裁裁判所を紹介する記事が載っていた。
サハリンでは、この2年間で、裁判所のIT化が急激に進行しているらしい。記事では、以下のような事柄が紹介されていた。
- 裁判所入り口横や各法廷の入り口の壁面に、「情報キオスク」という情報端末が設置され、当日の裁判期日の情報を検索できる。
- 法廷にはビデオカメラが設置されている。カメラはハバロフスクの裁判所と接続されており、テレビ会議のみならず、カメラを用いて尋問を行うこともできる。
- 裁判所のパソコン端末には、2008年以降のロシアの全裁判例や法律の改正情報が保管されており、登録すれば、その情報を検索し、閲覧することができる。
- 事前に登録すれば、訴状や準備書面などを電子メールで送信することができるシステムが備わっている。
ロシアは上からのトップダウンで物事が進むお国柄であろうし、天然ガスの輸出などで国の財政に余裕があるから、わずか2年でここまで進んだのだろう。
日本の裁判所には、裁判期日の情報を検索できる端末はないし、裁判例や法律の改正情報を検索できるパソコン端末が裁判所に置いてあるという話も聞かない。
準備書面については、下書き段階の書面を裁判所や相手方に電子メールで送信する試みは一部で行われているが、正式な書面としての提出方法は、郵送か、直接手渡すか、FAX送信かに限られている。
訴状はさらに厳しく、FAXでの提出は認められていない。
こうしてみると、いつの間にか、日本の裁判手続きは、IT化という点では、ロシアに遅れを取ってしまったようだ。