本の紹介「街場のメディア論」

昨年に買って以来今まで読んでいなかったのですが、本書を読んでみて、著者が稀代の「語り」のエンターテイナーであることを再認識しました。

 

-以下抜粋(部分改)-

 

「電子書籍は書架に配架することができない。」「電子書籍は、(リアル)書架に配架できないので、『私はこれらの本を読んでいる人間である』と人に誇示することもできないし、『私はこれらの本を(いずれ)読み終えるはずの人間である』と自分に言い聞かせて、自己教化の手がかりとすることもできない。」

 

「(匿名で発言する人は)私は存在しなくたって誰も困らない、という事を堂々と公言している」

 

「(メディアは)おのれの無知や無能を言い立てて、まず「免責特権」を確保し、その上で、「被害者」の立場から、出来事について勝手なコメントをする。」

 

「メディアは『常に正しいことだけを選択的に報道している』というありえない夢を追います。この態度は僕は病的だと思います。」

 

「僕たちが今読まされている、聴かされている文章のほとんどは、血の通った個人ではなく、定型が語っている。定型が書いている。」

 

個人的には、自分のやりたいことではなく、人の役に立ちたい思いが人間の潜在的な能力を最大限に引っ張り出すことを力説した第一講「キャリアは他人のためのもの」が、一番胸に響きました。